映画■『サブウェイパニック』 地下鉄を乗っ取る(99/5/7-04:51:09)

●前に書いてから1ヶ月すぎちゃった。で、ジャガーノートに続き、1975年のパニック映画全盛時に公開されたイギリス映画をとりあげる。実はこの二本のサントラシングルはニコイチになっていたのだ。そーゆー時代だったんだねぇ(CDじゃなくてレコードだし)

●実はこの映画のリメイク版が作られて、先日ビデオショップでレンタル開始されたのだ。どうやらテレフィーチャー(テレビ映画)らしくて、音楽が妙に軽いんだが、それ以外は結構昔の映画のファンをがっかりさせない、ちゃんとした出来であった。

●パニック映画というより、奇想天外な犯罪を描いたサスペンスである。なにしろニューヨークの地下鉄を乗っ取り、一両を切り離して人質14人をとり、1時間以内に市に100万ドルをもってこいと要求するという物語。選りによって逃げ場のない地下鉄をなぜ乗っ取るのか?怪優ロバートショウが乗っ取りグループのリーダーとして、気味が悪いほど冷静かつ冷酷な英国男(乗っ取った車両の運転席でクロスワードパズルなんてやってるのだ)を演じ、対する交渉人はあのぶっつぶれた顔のウォルターマッソー。この二人の対決が強烈な味わいを醸し出していて、リメイク版はその部分においてはまったく映画に及んでいない。がんばってはいるけどねー。

●犯人側と交渉人の、ニューヨーク地下鉄をゲームボードにした丁々発止の対決。うーん僕好みの設定。実は「ダイハード3」が地下鉄を舞台にしていると聞いたときにこの映画の原作小説をもとにするんじゃないか?なんて思ったのだ。地下鉄には刑事が偶然載っているという設定だし。なんだか狭い舞台をかけずりまわるダイハードに似合っているでしょ。
ダイハードシリーズは、1と2は原案となった(それぞれ別の作者の関係ない)小説があるのは有名な話。サブウェイパニックはアクションというより、静かな頭脳戦のイメージなんだけど、設定だけを借りてアクションに書き換えることも可能だと思ったんだよね。1も2も原作の設定だけを借りた全然違う話になってるらしいしね。これを原作にすれば、あんなくだらん映画にならなかったかもなぁ。ダイハード3。

●なにしろ奇想天外な犯罪だから、映画にはいかにも英国的な妙なユーモアが漂い、特に最後の最後の幕切れは鮮やか!ウォルターマッソーのつぶれ顔あってこそのラストで、リメイク版でも、なんとか再現しようと苦心していた。なんでもドンパチで片づけちゃう最近のアクション映画とは一味もふた味も違う風格で、もし、観る機会があったらもとの映画を観てほしい。レンタルビデオ屋でもあまり見かけないけれど、以前WOWOWでやってたし、UHFでもやるかも。出たばかりのリメイク版も悪くない。すぐに店頭から消えるだろうから、なくなる前に観ておいてね。

●WOWOWで放映したときの解説に、この映画は結構最近の映画人に影響をあたえた映画だというようなことが案内に載っていた。犯人はお互いを色の名前で呼び合う(ミスターブルーとかミスターブラウンのように)のだが、タランティーノの出世作レザボア・ザ・ドッグスでも同じことをしてたとか。